西村内科脳神経外科病院

パンデミックについて

          
最近話題になっているパンデミック(pandemic)とは、ある感染症や伝染病が世界的に流行することを表す
言葉です。日本語に訳すと感染爆発や汎発流行にあたります。
近年東南アジア諸国で発生している高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1型によるトリインフルエンザ
により、パンデミックが起こる恐れがあると、世界保健機関が途上国を中心に対策を立てています。
日本では、厚生労働省を中心に地方自治体が対策をとっていますが、患者が急増した際の医療機関の混乱や、
交通機関のまひ、食料の供給不足などを懸念する専門家の指摘もあります。
数年前SARSが大問題になりました。このときの感染者総数は8098名で、死者は774名でした。(WHOがSARSの
終息宣言をした平成15年7月5日現在)
しかし、H5N1型鳥インフルエンザによる死亡率はSARSの数倍にも達するとの予想もあります。世界保健機構
(WHO)によると2008年4月8日までに379人が感染し、このうち239人が死亡、致死率は63%であります。
 
歴史的なパンデミックとしては、14世紀にヨーロッパで流行した黒死病(ペスト)、19世紀から
20世紀にかけて地域を変えながら7回の大流行を起こしたコレラ、1918年から1919年にかけて
全世界で2500万人(4000〜5000万人という説もあり)が死亡したスペインかぜ(インフルエンザ)
などがあります。

現在の世界は、航空機などの輸送機関の発達によりパンデミックが起こりやすい状況になっているため、
検疫を行うなどして感染症の流入を防ぐ対策がとられています。
なお、感染症がコミュニティ内で流行することをエピデミック(epidemic)と呼びますが、それが規模が大き
くなり世界各地で散発的に起こるようになった状態をいいます。



概要

  インフルエンザとヒトとの関わりは古く、古代エジプトにはすでにインフルエンザと見られる病気の記録
  が残っている。最も重大な転機は1918年から1919年にかけて発生したスペインインフルエンザの世界的な
  大流行(パンデミック)である。
  これは規模、死亡率の点で強力で、感染者数6億人、死亡者数4000 - 5000万人(さらに多いという説もある)
  にのぼり、第一次世界大戦終結の遠因ともいわれる。このスペインかぜ以降も、インフルエンザは毎年継続
  して感染流行を起こしている。また、さらに数年から数十年ごとに新型のヒトインフルエンザの出現とその
  新型ウイルスのパンデミックが起こっており、毒性の強い場合は多数の死者がでる。

  近年は新型ヒトインフルエンザのパンデミックが数十年起こっていないこと、死亡率の減少などから「インフル
  エンザは風邪の一種、恐れる病気にあらず」と捉える人が多くなったが、これは誤解である。
  インフルエンザの症状はいわゆる風邪と呼ばれる症状の中でも別格と言えるほど重く、区別して扱う事も多い。
  また、パンデミック化したインフルエンザは人類にとって危険なウイルスである。

  日本などの温帯では冬期に毎年のように流行する。通常、11月下旬〜12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。
  学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1-3月頃にその数が増加しピークを迎えて4-5月には流行は収まるパターンである。


「インフルエンザ」の語源
  「インフルエンザ」の語は16世紀のイタリアで名付けられた。当時はまだ感染症が伝染性の病原体によって起
   きるという概念が確立しておらず、何らかの原因で汚れた空気(瘴気、ミアズマ)によって発生するという
   考え方が主流であった。冬季になると毎年のように流行が発生し春を迎える頃になると終息することから当時の
   占星術師らは天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考え、「影響」を意味するラテン語
 (英語でいうinfluence)にちなんでこの流行性の感冒をインフルエンザと名付けた。
  この語が18世紀にイギリスで流行した際に英語に持ち込まれ、世界的に使用されるようになった。

  日本では江戸時代に長崎から持ち込まれたインフルエンザウイルスが幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」
 「谷風」「琉球風」「お駒風」など当時の世相を反映した名称で呼ばれた。古くから風邪、風疫とされるとおり、
  悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があった。幕末にはインフルエンザの名称が蘭学者より持ち込まれ、
  流行性感冒と訳された。
  近年、マスコミなどで「インフル」と略した呼称が使われるようになってきている。


インフルエンザの病原体
  インフルエンザの病原体はRNAウイルスのインフルエンザウイルスである。ウイルスが分離されたのは1933年。
  ヒトインフルエンザウイルスの多くはマウスやウサギに対して病原性を持たなかったが、このときフェレット
  を用いた感染実験によって初めてコッホの原則に基づいた病原性の証明がなされた
 (なお、ウイルスが知られていなかった頃は病原体として細菌しか知られていなかったため、患者から分離された
   インフルエンザ菌が原因だと思われていた)。


インフルエンザウイルス
  インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因になる。
  C型は小児期に感染して呼吸器感染症の原因になりC型インフルエンザと呼ばれるが、毎年世界的な大流行を起こす
  一般的な生活の中で呼ばれるものとは症状や原因ウイルスの性状の点でも差異が大きい。
  A型とB型のウイルス粒子表面にあるヘマグルチニン(赤血球凝集素、HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白
  は変異が大きく、インフルエンザの種類が多い要因となっている。
  A型インフルエンザウイルスにはHAとNAの変異が特に多く、これまでHAに16種類、NAに9種類の大きな変異が見つ
  かっており、その組み合わせの数の亜型が存在しうる。これらの亜型の違いはH1N1 - H16N9といった略称で表現され
  ている。ただし、このうちヒトのインフルエンザの原因になることが明らかになっているのは2008年現在でH1N1、
  H1N2、H2N2、H3N2の4種類である。この他にH5N1、H9N1などいくつかの種類がヒトに感染した例が報告されているが、
  これらの型ではヒトからヒトへの伝染性が低かったため大流行には至っていない。ただし、いずれ新型インフルエンザ
  が定期的に大流行を起こすことは予言されつづけている。ヒトに感染しない亜型のウイルスは鳥類や他の哺乳動物を
  宿主にしていると考えられている。特に水鳥ではHAとNAの組み合わせがすべて見つかっており、自然宿主として重要
  な地位を占めていると考えられている。また同じH1N1であってもさらに細かな変異によって抗原性や宿主が異なり、
  年によって流行するウイルスの型は異なる。
  B型は遺伝子がかなり安定しており、免疫が長期間続く。また、C型は遺伝子がほとんど変化しないので免疫が一生続く。
  これに対してA型は時々遺伝子が大きく変わるので、時折パンデミックを起こす。


症状
  風邪(普通感冒)とは異なり、比較的急速に出現する悪寒、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛を特徴とし、咽頭痛、
  鼻汁、鼻閉、咳、痰などの気道炎症状を伴う。腹痛、嘔吐、下痢といった胃腸症状を伴う場合もある。 
  合併症として肺炎とインフルエンザ脳症がある。 

疫学
  感染経路は咳・くしゃみなどによる飛沫感染が主であり、経口・経鼻で呼吸器系に感染する。ただし、
  飛沫核感染(空気感染)や接触感染など違った形式によるものもある。予防においてはマスクが大変有用であり飛沫感染
  に対しては特に効果的であるが、形状や機能性などによっては完全に防げない場合もある。マスクのみでは接触感染を防
  ぐことができないため、手洗いなどの対策も必要である。 
  潜伏期間は1〜2日が通常であるが、最大7日までである。 
  感染者が他人へウイルスを伝播させる時期は発症の前日〜症状が軽快してのちおよそ2日後までである。症状が軽快して
  から2日ほど経つまでは通勤や通学は控えた方がよい[3]。 
  A型インフルエンザはとりわけ感染力が強く、症状も重篤になる傾向がある。 
  まれにA型、B型の両方を併発する場合もある。 

予防手段
  一般的な方法として最も効果が高いのはワクチンを使用した予防接種である。


インフルエンザワクチン
   ワクチンは身体の免疫機構を利用しウイルスを分解・精製したHA蛋白などの成分を体内に入れることで抗体を作らせ、
   本物のウイルスが入ってきても感染させないようにする。また、ワクチンの接種により仮にインフルエンザにかかった
   としても軽症で済むとされるが、個人差や流行株とワクチン株との抗原性の違いにより、必ずしも十分な効果が得られ
   ない場合もある。投与手段は皮下注射や筋肉注射であるが、米国では鼻噴霧式のものも認可されている。
   効果は免疫力に比例するため青年者にはもっとも効果が高いが、若齢者・高齢者は免疫力が低いので効果も低くなる。
   また過労、ストレス、睡眠不足や不摂生な生活をすれば身体の免疫力そのものが低下するのでワクチンを接種したから
   大丈夫と過信してはいけない。
   ワクチンの製造には6ヶ月程度かかるため、次の冬に流行するウイルス株を正確に予測することは難しい。
   ウイルス株が変異していればその効果はいくぶん低下するが、アフィニティーマチュレーション(抗原結合能成熟)
   によりある程度の免疫効果が期待できる。これは弱毒生ワクチンよりも不活化ワクチンの方が効果がある。
   しかし抗原型の一致・不一致にかかわらずもともと免疫のない若齢者では弱毒生ワクチンの方が有効とされている。
   感染歴のある成人では、交差免疫により生ワクチンウイルスが増殖する前に排除され免疫がつかないこともある。
   このような場合は、不活化ワクチンの方が高い効果が得られる。
   ワクチンの接種料金は3〜6000円程度。料金は医療機関によって異なり、健康保険の法定給付の対象外である。
   健康保険組合や国民健康保険組合等では保険者独自の給付として、被保険者や世帯主に対し接種費用の助成を行う場合もある。
   又、65歳以上の高齢者、60〜64歳で心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活を極度に制限される人、
   ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な人については予防接種法上の定期接種に
   指定され、多くの自治体に於いて公費助成が行われている。
   日本では年末になるとインフルエンザワクチンの品不足が毎年のように起きていた。これは一部の医療機関による買い占め
   が原因で返品制度に問題があると言われてきたが、販売元がワクチンをワクチンメーカーから買取り制にしたり一部流通分を
   不足した場合に融通するため確保しておくなどの努力の結果、かつてのようなワクチンの品不足は解消されてきている。
   現行の皮下接種ワクチンは感染予防より重症化の防止に重点が置かれた予防法であり、健康な成人でも感染防御レベルの
   免疫を獲得できる割合は70%弱(同時期に2度接種した場合は90%程度までUP)である。なお、感染防御レベルの免疫を得られ
   なかった者の中で発症しても重症化しないレベルの免疫を獲得している割合は80%程度とされる。100万接種あたり1件程度は
   重篤な副作用の危険性があることなども認識しなければならない。なお、免疫が未発達な乳幼児では発症を予防できる程度の
   免疫を獲得できる割合は20-30%とされ、接種にかかる費用対効果の問題や数百万接種に1回程度は重篤な後遺症を残す場合が
  あることを認識した上で接種をうける必要がある。米家族医学会では「2歳以上で健康な小児」への接種を推奨している。
  乳幼児の予防のためには、本人がワクチンの接種を受けるよりも、家族がまず接種を受け、家族内でうつさない、流行させない
  体制を作る方が有効であろう。

抗インフルエンザウイルス薬の予防利用
  治療用の薬であるオセルタミビル(商品名タミフルカプセル75)・ザナミビル(商品名リレンザ)は、予防用としても
  使用認可されている。また予防薬としての処方は日本では健康保険の適用外であり、原則的な利用条件が定められている。
  インフルエンザ感染症を発症している患者の同居家族や共同生活者(施設などの同居者)が下記のような場合には、
  タミフルのカプセル製剤を1日1回、予防使用することが認められている(7〜10日間、継続して服用する)。
  なお、健康成人と13歳未満の小児は予防使用の対象にならない。
      高齢者(65歳以上) 
      慢性呼吸器疾患患者、又は慢性心疾患患者 
      代謝性疾患患者(糖尿病など) 
      腎機能障害患者 
  リレンザの予防投与では、その対象が「原則としてインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または
  共同生活者である次の者:
      高齢者(65歳以上) 
      慢性心疾患患者 
      代謝性疾患患者(糖尿病等) 
      腎機能障害患者 

その他の感染予防対策
   薬よりも手洗いやマスクの着用といった物理的な方法が効果的。しかし、前述のように完全に予防することは出来ない
   ので注意が必要である。 
   換気をこまめに行う。また、部屋の湿度を十分保つことが大事である。これにより、飛沫核感染の確率を大幅に減らす 
   ことが可能である。 
   予防効果としてのうがいは、うがい薬やお茶を使用することである程度有効ではある。 
   ただしウィルスは口や喉の粘膜に付着してから細胞内に侵入するまで20分位しかかからないので人ごみから帰ったら
   即座にしなければうがいの効果は期待できないとする意見がある。 
   一方、水道水によるうがいは有意に風邪の感染を減少させるという研究結果が発表されている。この研究ではヨード液
  によるうがいは効果が見られなかった。 
  感染の可能性が考えられる場所に長時間いることを避ける必要がある。人ごみや感染者のいる場所を避けるなど。 
  免疫力の低下は感染しやすい状態を作るため、栄養や睡眠を十分とることが大事である。 
  ウイルスは日光や消毒薬に非常に弱いため、衣類に唾液・くしゃみ等が付着したものからの感染は考えにくいが、
  一応こまめに洗濯した方がよい。 

検査方法
  2001年頃より迅速に診断が可能な検査キットが臨床の現場で使われ始め、現在は普及している。検査技師など専門家が
  いなくても簡便にできる。鼻の奥の咽頭に近い部分を採取すると検出率が高いとされ、検体は基本的にその部分から採取
  される。時間的には15〜20分で結果が分かる。A型とB型の鑑別も可能である。タミフルは発症後48時間以内が非常に有効
  とされるため、迅速診断は非常に重要な検査方法となっている。
  ただし、発症した直後ではウイルス量が少ないため陽性と判定されないことがある。発症後2日目が最も陽性率が高いとされ、
  発症後4-5日たつと陽性率は減少する。抗ウイルス薬による治療は発症後48時間以内でないと効果が期待できないため、
  検査で陰性と判定されても症状などから医師の判断で抗ウイルス薬を処方する場合もある(高齢者などのハイリスク患者や受験生など)。


治療方法
   抗インフルエンザ薬
        インフルエンザ自体に対する治療としては抗インフルエンザ薬しか無いが、その効果は根本的なものではなく
        発症後早期(約48時間以内)に使用しなければ効果が無い。
        インフルエンザ治療薬として認められているものを下記に挙げる。
           オセルタミビル(商品名:タミフル - ロシュ/中外製薬) - ノイラミニダーゼ阻害薬である。
           カプセルとドライシロップがある。適用上、A型・B型両方に使用可能だが、その根拠となる文献ではB型の
           インフルエンザ患者はわずか3%程度しか含まれていない。
           オセルタミビルの臨床効果として、平均治癒期間を4.9日から3.6日に29.1時間短縮する。未成年服用者の
           異常行動例が報告されているが、因果関係については不明である。 
           ザナミビル(商品名:リレンザ-グラクソ・スミスクライン) - ノイラミニダーゼ阻害薬である。吸入薬として使用。
           A型・B型両方に効果がある。 
           アマンタジン(商品名:シンメトレルなど) - 錠剤となっている。A型のみの効果であるので注意が必要。
            M2蛋白阻害薬である。なお、この薬は脳梗塞後遺症やパーキンソン病にも効果がある。 

対症療法
   暖かい場所で安静にして、水分を十分に摂る。空気の乾燥に気をつける。特に体を冷やさないこと、のどの湿度を保つ
   ことが重要である。 
   外出は避ける。うつす/うつされる機会をなるべく減らすことが大切である。 
   インフルエンザウイルスは熱に弱いので、微熱はあえてとる必要はない。熱が高く苦しい場合などには適宜、解熱剤を使用する。 
   食事が摂取できないなどの場合は補液が必要となる。 

トピックス
   アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2005-2006年のインフルエンザについてアメリカではアマンタジンとリマンタジン
   を使用しないように勧告を行った(リマンタジンは日本では販売されていない)。このシーズンに流行のインフルエンザウイルス
   の90%以上がこれらの薬剤に耐性を得ていることが判明したためである。 
   2002年冬、インフルエンザが非常に流行したためインフルエンザ治療薬が不足するなどの問題が起こったことがある。 
   解熱に使用できる薬剤は小児ではアセトアミノフェン(商品名:カロナールやナパ等)に限られる。
   ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン等)やメフェナム酸(商品名:ポンタール等)、アスピリンなどの
   非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を15歳未満の小児に使用するとライ症候群の併発を引き起こす可能性が指摘されているため、
   原則使用が禁止されている。そのため小児のインフルエンザ治療においてはNSAIDsは使用せず、よほど高熱の時のみ
   アセトアミノフェンを少量使用するのが現在では一般的である。市販の総合感冒薬は効果がない。
   むしろ前述のNSAIDsを含むこともあり避けるべきである。 

警報・注意報
   国立感染症研究所が全国の内科・小児科のある病院・診療所で定点調査を行い、公表している。
   感染症サーベイランス事業の一環として行われる。保健所ごとに基準値を設け患者数が一定数を超えると、
   大流行が発生又は継続しているとみなし「警報レベルに達している」と発表される。また、流行の発生前で
   今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性がある場合や流行発生後であるがまだ流行が終わっていない
   可能性がある場合は「注意報レベルに達している」と発表される。
   なお、都道府県で個別に発表される警報とは異なるので注意が必要である。

鳥インフルエンザ
  原因となるインフルエンザウイルスは人畜共通感染症(zoonosis)であり、豚と鳥類に感染することが知られている。
  ヒトインフルエンザは、元は[鳥インフルエンザ]ウイルスが遺伝子変異して人間に感染するようになったと考えられている。
  これらの動物と人間が密接な生活をしている中国南部の山村などでウイルス遺伝子の混合が起こり次々と変種が登場する
  ものと推測されている。
  なお鳥インフルエンザウイルスには20種ほどのタイプがあり、中でもH1/H2/H3/H5/H7/H9型が知られる。H1/H3型は人間に
  感染し、Aソ連型/A香港型として知られる。H5/H7/H9型は毒性が強いことで知られる。鳥から人への感染力は弱いと見られ、
  人への感染例は少ない。しかし感染者の死亡率は60〜70%とSARSの10%を上回る。
  2003年末から2004年初めにかけ韓国・香港・ベトナムと東アジアで大きな被害を出しつつある鳥インフルエンザはH5N1型である。
  日本でも2004年1月に山口県で感染ニワトリが見つかったのを皮切りに、各地で鳥類への感染が報告されている。
  過去、日本で1925年に同様の被害を出したものはH7型と言われている。


SARS
  2002年から国際的に問題となった重症急性呼吸器症候群(SARS)と流行時期・初期症状が類似しているため2003年冬以降は
  SARSとの鑑別診断が大きな問題となる。初期に確実な診断をするためにも、接種を受けることでインフルエンザを除外しやすく
  することが強く求められている。


インフルエンザ菌
  インフルエンザウイルスによる感染を細菌の感染と混同し、「インフルエンザ菌」という誤った呼称で用いられることがある。
  一方で、北里柴三郎らが1892年に重症のインフルエンザ患者から分離したヘモフィルス・インフルエンザエ
 (Haemophillus influenzae)という細菌を「インフルエンザ菌」と呼ぶ(グラム陰性桿菌であり「インフルエンザ桿菌」
  とも呼ばれている)。院内感染でない市中肺炎の原因菌は、黄色ブドウ球菌に次いでインフルエンザ菌であることが多い。
  当時はまだウイルスというものの存在は広く認知されておらず、このヘモフィルス・インフルエンザエという細菌が
  インフルエンザ感染症を引き起こしている病原体の候補であると考えられたが、コッホの原則に基づく証明ができなかった。
  1933年にインフルエンザウイルスこそが真の病原体であると証明されたことで、この細菌が病原体であるという仮説が否定された。
  ヘモフィルス・インフルエンザエはインフルエンザウイルスに感染し免疫力が低下した人に二次感染して症状を悪化させていた
  ことが原因であったと考えられる。
  インフルエンザ桿菌B型(HIB)の乳幼児感染症は致死率や後遺症発生率が高いが予防接種(HIBワクチン)で感染を防ぐ
  事が出来る。世界100ヶ国以上でHIBワクチンは定期接種プログラムに組み入れられ、公費負担による接種が行われている。
  しかし、日本では、薬が厚生労働省の承認を取得していないため予防接種が受けられない(近日承認の見込み)。


ウマインフルエンザ
  ウマに感染する呼吸器疾患。発見されると競馬の開催が不可能になることが多い。